2024年J1をデュエル勝率で読む:なぜこのランキングは全員ディフェンダーなのか
文・データ分析 | チェ・ボンジン(Far Post Analytics 運営者)
2024年J1をデュエル勝率で並べると、上位20人のうち13人がディフェンダー、フォワードはゼロです。デュエル勝率は実力と同じくらいポジションが決める指標。本物のシグナルを読むには、同じポジション同士で比較する必要があります。
スカウティングの「彼は球際が強い」というコメントを数値に置き換えると、たいていデュエル勝率(勝ったデュエル ÷ デュエル数)になります。地上・空中で行われる1対1をどれだけ制するか、です。直感的で強力に見える指標ですが、条件なしで順位を付けると、実力ではなくポジションを測ることになります。
以下の数値はすべて2024シーズンのJ1データ(API-Football、詳細スタッツ収集選手が対象)から直接計算しました。サンプルを安定させるため、シーズンで200回以上デュエルを行った74人に限定しており、この集団の平均勝率は49.8%でした。
勝率上位:ほぼ全員ディフェンダー
デュエル200回以上でフィルターした勝率上位は以下の通りです。名古屋グランパスのK. Mikuniが70.5%(295回中208勝)で1位、鹿島のI. Sekigawaが68.0%で続きます。上位8人がすべてディフェンダーです。
目を引くのは36歳のS. Sasaki(広島)です。この表で最年長ながら64.9%で6位に入りました — デュエルの勝利が瞬間的なスピードよりも、ポジショニングとタイミングの結果であることを示す例です。逆に上位の最年少は25歳(Mikuni、Sekigawa)で、「若くて球際も強い」ディフェンダーの希少さを物語ります。
出典: API-Football 2024 J1、デュエル200回以上の74人。Far Post Analytics 集計。
| 選手 | クラブ | ポジション | 年齢 | デュエル(勝/計) | 勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| K. Mikuni | 名古屋 | DF | 25 | 208/295 | 70.5% |
| I. Sekigawa | 鹿島 | DF | 25 | 187/275 | 68.0% |
| Matheus Thuler | 神戸 | DF | 26 | 225/337 | 66.8% |
| D. Okamura | 町田 | DF | 28 | 288/442 | 65.2% |
| H. Araki | 広島 | DF | 29 | 184/283 | 65.0% |
| S. Sasaki | 広島 | DF | 36 | 218/336 | 64.9% |
| T. Kamijima | 福岡 | DF | 28 | 131/205 | 63.9% |
| T. Yamakawa | 神戸 | DF | 28 | 166/267 | 62.2% |
ポジションが半分を説明する
なぜディフェンダーが上位を独占するのか。争うデュエルの種類が違うからです。ディフェンダーは自陣で相手の前進を止める、構造的に勝ちやすいデュエルを多くこなします。対してフォワードは、密集した相手ゴール前で背負って収める、あるいは長身のセンターバックと空中戦を競るといった、勝ちにくいデュエルにさらされます。
数字にも表れています。200回以上の集団をポジション別に分けると、ディフェンダー(26人)の平均勝率は56.1%、ミッドフィルダー(24人)は50.6%、フォワード(24人)は42.2%でした。上位20人の構成はさらに極端です — ディフェンダー13人、ミッドフィルダー7人、フォワード0人。つまり「デュエル勝率リーグ1位」という言葉は、実質「ディフェンダーの中で1位」に近いのです。
出典: API-Football 2024 J1。Far Post Analytics 集計。
スカウティングでどう使うか
結論はシンプルです。デュエル勝率は必ず同じポジション内で比較すべきです。リーグ平均42%を踏まえれば、球際や空中戦をよく負けているように見えるフォワードも、ポジション基準では平均かそれ以上ということがあり得ます。逆に55%を下回る主力センターバックは、表面の数字が悪くなくても、ポジション基準では警告サインです。
これこそ、私たちが選手マップとパーセンタイルを常にポジショングループ内で算出する理由です。サイドバックをストライカーと同じ物差しで測れば、ランキングはただのポジション一覧になってしまいます。デュエル勝率を正しく読むには、まず「誰と比較しているのか」を問う必要があります。
本文の数値はAPI-Football提供の2024シーズンデータに基づき、年齢はデータ収集時点のものです。90分あたり指標は独自計算値であり、出場時間が短い選手ほど誤差が大きくなる可能性があります。すべての数値はスカウティングの出発点であり、直接の検証に代わるものではありません。
✍️ チェ・ボンジン
Far Post Analytics 運営者。Jリーグ・アジアサッカーのスカウティングデータを分析します。欧州が見ていない場所で次の移籍市場の主役を見つけることが目標です。
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